玄関の前で、ポケットを3回さわりました。
鍵が、ない。
結局、前の訪問先のテーブルに置き忘れていたのですが、あの数分の血の気の引き方は忘れられません。
訪問介護でいちばん取り返しがつかないのは、実はお宅の鍵をなくすことだと思っています。
記録の書き漏れは書き足せます。鍵は、そうはいきません。
私も最初は、渡された鍵をそのままポケットに入れていました。
今回は、鍵の預かり方と、なくさないための工夫をまとめます。
なぜヘルパーが鍵を預かるのか
ご本人がベッドから起き上がれない。認知症で応対ができない。ひとり暮らしで、鍵を開けに来る人がいない。
この場合、鍵を預からないとサービス自体が成り立ちません。
ただ、鍵を預かるのは「サービスの一部」ではなく「特別なこと」だと考えたほうがいいと思っています。
ここを軽く見ると、いつの間にか誰が持っているか分からない鍵が事業所に増えていきます。
預かるときに必ずそろえる3つ
| そろえるもの | 中身 |
|---|---|
| ①鍵預かりの同意書 | ご本人またはご家族の署名。何本預かるか、保管場所、紛失時の対応 |
| ②鍵の管理台帳 | 誰が・いつ持ち出して・いつ戻したか。1本ごとに記録 |
| ③鍵の識別方法 | お名前や住所は書かない。番号や記号にする |
③がとくに大事です。
親切心で「○○様」と書いたタグを付けると、落としたときに住所と鍵がセットで他人の手に渡ります。
台帳を見ないと分からない番号にしておく。これだけで危険度がまったく変わります。
紛失を防ぐ5つ
- ポケットに直接入れない…かがんだ拍子に落ちます。バッグの決めた場所に
- ストラップで身につけるものにつなぐ…バッグの内側、ベルト通しなど
- 1件終わるごとに、鍵の本数を声に出して確認する
- その日に使う分だけ持ち出す…全部持ち歩かない
- 戻したら台帳にチェック…「戻したつもり」をなくす
③の声に出すは、買い物のお金と同じです。
頭の中の確認は、疲れている日ほど飛びます。声にすると飛びません。
キーボックスを使うときの注意
玄関横に暗証番号式のボックスを付けて、そこに鍵を入れておく方法もあります。
事業所が鍵を持たなくてよくなるので、うまく使えば安全です。
ただし、次の点は決めておいたほうがいいです。
- 暗証番号を誰まで知っているか…名簿にして、退職時に必ず番号を変える
- 番号を書いたメモを持ち歩かない…スマホのメモも避ける
- ボックスの位置…玄関の真横は狙われやすい。目立たない場所に
- ケアマネや訪問看護と共有しているか…共有するなら、変更したときの連絡先を決めておく
とくに退職時の番号変更は、忘れられがちです。ここは事業所として仕組みにしておきたいところです。
もし、なくしてしまったら
いちばんやってはいけないのは、探しながら黙っていることです。
手順としては、①今いる場所を動かずに事務所へ電話 → ②サービス提供責任者の指示を待つ → ③ご本人・ご家族への連絡は事業所から。
自分で先にご家族に謝りに行きたくなりますが、それは順番が違います。
鍵の交換が必要になったとき、費用の話まで含めて事業所が対応する必要があるからです。
そして、見つかったかどうかにかかわらず、その日のうちに経緯を書いて残す。ここまでが一連の対応です。
ご家族から「合鍵を作っておいて」と言われたら
これは、その場で受けないほうがいい依頼です。
合鍵を作ると、誰が何本持っているか分からない状態が生まれます。
作るとしても、事業所として本数を管理し、台帳に載せる必要があります。
言い方としては、「鍵は事業所で本数を管理する決まりになっていまして、一度持ち帰って確認させてください」。
制度や決まりに理由を置くと、角が立ちません。
今日のまとめ
- 鍵は同意書・台帳・番号タグの3つをそろえてから預かる
- タグに名前と住所は書かない
- 持ち出しは必要な分だけ。1件ごとに声に出して本数確認
- キーボックスは退職時の番号変更まで決めておく
- なくしたらその場で事務所へ。自分で先に謝りに行かない
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鍵の管理が台帳と同意書で仕組みになっている事業所と、「各自で気をつけて」で終わっている事業所とでは、同じ仕事でも背負う不安がまったく違います。
台帳があるか、紛失時に事業所が前に出てくれるか。求人票には書かれていない部分なので、間に人が入る形で確認してもらうのも一つの手かもしれません。
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まずは今日の訪問の帰り、バッグの中で鍵の定位置を決める。ここから始めてみませんか。
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