レシートを、うっかりポケットに入れたまま帰ったことがあります。
翌日、利用者様のご家族から事務所に電話がありました。「昨日の買い物、いくら使ったんですか」と。
金額は合っていました。それでも、あの日は一日中いやな汗をかきました。
訪問介護の買い物代行で怖いのは、盗ったと疑われることではないと思っています。
「説明できない状態を作ってしまうこと」のほうが、ずっと怖い。
私も最初は、財布を預かることの重さを分かっていませんでした。
今回は、お金の扱いでヘルパーが自分を守るための手順を、順番にまとめます。
買い物代行は「安く早く」より「跡が残るか」
買い物代行というと、上手に安く買ってくることが仕事だと思われがちです。
でも実際に事故になるのは、品物ではなくお金のほうです。
あとから見返したときに、誰が・いくら預かって・何に使って・いくら返したかが一本の線でつながっていること。ここがすべてだと思っています。
この線が切れていると、金額が1円も合っていても説明ができません。
やってはいけない3つ
- 自分のお金で立て替える…善意でも、貸し借りの関係が生まれます
- おつりを次回に持ち越す…「預かったまま」の状態を作らない
- レシートを捨てる、まとめる…ご本人以外の物と一緒のレシートは特に危険
とくに立て替えは、その場ではいちばん親切に見えます。
だからこそ、事業所として最初から禁止にしておくほうが、現場は楽になります。
訪問前に確認する4つ
| 確認すること | 見るところ |
|---|---|
| 買い物代行がケアプランに入っているか | 計画書の生活援助の欄 |
| お金の預かり方の取り決め | 財布ごとか、現金だけか。上限はいくらか |
| 買ってよい物の範囲 | ご本人の日常品のみ。酒・たばこ・家族の分の扱い |
| 店の指定があるか | 遠方の店は移動時間の問題になります |
とくに上限額は、決まっていない事業所が意外とあります。
1万円を超える買い物を単独で頼まれたら、その場で受けずに一度事務所へ。ここは徹底したほうがいいと思います。
現場での手順は、この5つでいい
複雑にすると続きません。私はこの順番に落ち着きました。
- 預かるとき、ご本人の目の前で声に出して数える…「5千円お預かりします」
- その場で預かり金額を記録に書く…帰ってから書かない
- レジで、ご本人の物だけの会計にする…自分の買い物と絶対に混ぜない
- 帰ったら、レシートとおつりを目の前で並べる…「1,240円のお返しです」
- 記録に、預かり額・支出額・返却額の3つを書いて、できればサインをもらう
①と④の「声に出す」が、いちばん効きます。
ご本人が忘れてしまう方でも、その場に声が残っていれば、あとで説明の筋が通ります。
認知症の方の場合に増える一手間
「渡していない」「多く渡した」と言われることは、めずらしくありません。
これは記憶の問題であって、ご本人を責める話ではないと思っています。
そのうえで、次の一手間を足すと、こじれにくくなります。
- 預かるところと返すところを、できるだけ同じ場所(同じ机の上)で行う
- レシートはその場でノートに貼るか、決めた箱に入れる
- ご家族がいる場合は、連絡ノートに金額を書いて残す
ノートに数字が残っていれば、電話がかかってきても落ち着いて答えられます。
それでも金額が合わなかったときは
いちばんやってはいけないのは、自分のお金で足して黙って合わせることです。
その瞬間から、説明できない記録になります。
手順としては、①その場でご本人に伝える → ②すぐ事務所に電話 → ③サービス提供責任者の指示を待つ。この順番です。
ひとりで解決しようとしないこと。ここだけは、新人でもベテランでも同じだと思います。
レシートは「1回1枚」にする
ここは地味ですが、あとで効いてきます。
同じ店で自分の買い物も済ませたくなる日はあります。
でも会計を分けずに一枚にしてしまうと、その一枚は説明のできないレシートになります。
会計を2回に分けるだけで、この問題は消えます。レジで一言、「別々でお願いします」と言うだけです。
ご本人の分の袋も、分けておくと渡し間違いが起きません。
ご家族から「使いすぎでは」と言われたら
金額そのものより、何に使ったかが見えないことに不安を感じておられることが多いと感じます。
そういうときは、その場で言い返さず、次の3つを順に出すのが早いです。
- その日のレシート
- 記録に書いた預かり額と返却額
- ご本人が「これが欲しい」と言われた品だという経緯
3つ目まで出せると、たいていの話は落ち着きます。
逆に、経緯を覚えていないと苦しくなります。買った理由まで一行書いておくと安心です。
それでも納得いただけないときは、その場で結論を出さず、事業所とご家族の話に切り替えてもらいましょう。ヘルパー個人で背負う話ではありません。
今日のまとめ
- 買い物代行の本質は「跡が残るか」。金額より記録
- 立て替え・持ち越し・レシート紛失の3つはしない
- 手順は数える→書く→分けて会計→並べて返す→3つの数字を記録
- 合わないときは足さない。その場で言って、すぐ事務所へ
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お金の取り決めが文書で決まっている事業所と、「各自でうまくやって」で済ませている事業所とでは、同じ買い物代行でも背負う重さがまったく違います。
上限額のルールがあるか、金銭トラブルのときにサービス提供責任者がすぐ動くか。求人票には書かれていない部分なので、間に人が入る形で確認してもらうのも一つの手かもしれません。
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まずは次の買い物の訪問で、預かるときに金額を声に出す。ここから始めてみませんか。
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