「ご家族が同居しているので、生活援助は使えません」
そう説明された、あるいは説明したことのある方は多いと思います。ですがこれは正確ではありません。同居家族がいることだけを理由に、一律に不可としてはいけないというのが国の考え方です。
この記事では、どういう場合なら使えるのかと、それでも断らざるを得ないときの伝え方を整理します。
一律禁止ではない、が原則
厚生労働省は、同居家族がいる場合の生活援助について機械的に判断しないよう示しています。同居という事実だけで門前払いにするのは、制度の趣旨に反します。
とはいえ「同居家族がいても自由に使える」わけでもありません。ここが誤解されやすいところです。判断の軸は、その家族が実際に家事を担えるかどうかにあります。
使える可能性がある場合
自治体の資料でよく挙げられているのは、次のようなケースです。
- 同居家族が障害や疾病等で家事ができない
- 家族が日中不在で、その時間に援助がないと本人の状態に影響が出る(いわゆる日中独居)
- 家族関係にきわめて深刻な問題があり、援助が期待できない
- 家族が高齢・要介護であるなど、実質的に家事を担えない状態にある
一方で、これは理由にならないとされているものもあります。
- 家族が家事に不慣れ、苦手である
- 単に仲が良くない
- 家族が忙しい、面倒だと言っている
「できない」と「やりたくない」は別物という線引きです。ここを曖昧にしたまま算定すると、後で問題になります。
判断の順番
- 本人に生活援助が必要か … まずここ。本人ができるなら不要
- 同居家族は実際に家事を担えるか … 障害・疾病・不在の状況を具体的に確認
- 担えないなら、その理由を記録できる形にする … 診断名、勤務時間、状況の記述
- ケアマネジャーがアセスメントし、ケアプランに位置づける
- 訪問介護計画に落とし込む
3番目が実務の要です。「家族が忙しいので」ではなく、「平日7時〜19時は就労のため不在。その間の昼食準備ができない」のように、事実として書ける形にしてください。実地指導で見られるのはここです。
やってはいけない2つ
①家族の分まで一緒にやってしまう
生活援助は利用者本人のための援助です。家族の分の食事、家族の部屋の掃除、家族の洗濯は含まれません。「ついでだから」で線を越えると、事業所の責任になります。
②「同居だから無理です」で終わらせる
これは逆方向の誤りです。使える可能性を検討しないまま断ると、必要な支援が届きません。判断はケアマネジャーとの協議事項であって、事業所が単独で結論を出す話ではありません。
断るときの伝え方
断り方の型は、他の場面と同じです。①受け止める ②理由を制度に置く ③代わりの道を示す。
ご家族の分のお食事も、というお話ですね。お気持ちはよく分かります。(受け止める)
ただ、この制度は◯◯様おひとりのための援助という決まりになっていまして、ご家族の分をご一緒に、というのが制度上できないことになっています。(理由を制度に置く)
ケアマネジャーさんに一度ご相談してみましょうか。他に使えるサービスがあるかもしれませんし、自費のサービスという選択肢もあります。(代わりの道)
「私の判断ではありません」という形にするのが要点です。ヘルパー個人が断ったことにすると、次の訪問がやりにくくなります。
よくある質問
Q. 自治体によって判断が違うのですが
違います。国の考え方は「一律に不可としない」ですが、具体的な運用は保険者である市区町村が示しています。必ず自分の自治体の手引きを確認してください。
Q. 家族が単身赴任中の場合は
実態として同居していないなら、その旨を記録します。住民票ではなく生活の実態で見るのが基本です。
Q. 判断に迷ったら誰に聞きますか
ケアマネジャー、次に保険者(市区町村)です。事業所とヘルパーだけで結論を出さないでください。
まとめ
- 同居家族がいるだけで一律に不可、は誤り。機械的に判断しないのが国の考え方
- 軸はその家族が実際に家事を担えるか。「できない」と「やりたくない」は別
- 担えない理由は事実として記録できる形にする
- 家族の分をついでにやらない。生活援助は本人のためのもの
- 運用は自治体で異なる。自分の保険者の手引きを必ず確認
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