薬のシートが、ベッドの脇に何枚も落ちていました。 利用者さんは「ちゃんと飲んでるよ」とおっしゃいます。 その場でどう言えばいいのか分からず、黙って拾って帰ったことがあります。 訪問介護の服薬介助で難しいのは、薬を手渡すことではないと思っています。 どこまでが自分の仕事で、どこからが違うのか 。この線が見えないことのほうが、ずっと苦しい。 今回は、ヘルパーができる範囲と、飲み忘れに気づいたときの動き方を整理します。 まず「服薬介助」と「服薬管理」は別のもの 言葉が似ているので混ざりがちですが、ここを分けると一気に楽になります。 服薬介助 …すでに用意された薬を、飲めるように手伝うこと。 ヘルパーの仕事 服薬管理 …何をいつ飲むかを決める、量を調整する、仕分ける。 医療職の仕事 迷ったときは、 「判断が入るかどうか」 で考えてみてください。 判断が入らない手伝いは介助。判断が入るものは管理です。 ヘルパーができること 厚生労働省の通知で、医行為にあたらないと整理されているものがあります。 できること 条件 一包化された内服薬の服薬介助 本人が薬を飲み込める/誤嚥の恐れがない 軟膏の塗布 褥瘡の処置は除く 湿布を貼る — 点眼 — 坐薬の挿入 あらかじめ医師の指示があり、量の調整が不要なもの 鼻からの薬の噴霧 — 共通しているのは 「一包化されている」「量の調整が要らない」「容態が安定している」 こと。 そして、 本人・家族・医師・看護師の確認を得ていること が前提になります。 できないこと 薬を仕分ける・まとめる …一包化されていない薬を自分で分けるのは管理の領域 量を変える …「今日は調子がいいから半分に」は絶対にしない 口の中に手を入れて飲ませる …飲み込みに不安がある方は看護師へ インスリン注射、褥瘡への薬の塗布、摘便 …医行為です 薬を預かって持ち帰る …紛失の責任を負えません 3つ目はとくに現場で迷うところです。むせ込みがある、飲み込みに時間がかかる。 そう感じたら、その日のうちに事務所へ 。無理に飲ませないでください。 飲み忘れに気づいたときの動き方 いちばん大事なのは、 その場で判断しないこと です。 飲んでいない薬をそのまま残す …捨てない。まと...
朝の訪問で、ベッドから車いすへ一回。 昼に起こして、夕方にまた戻す。 その日はなんともなかったのに、翌朝、靴下をはこうとして固まる。 訪問介護で腰を痛める方の多くが、この順番です。 特別に重い方を持ち上げたわけではありません。 低いベッドに向かって、前かがみでひねる。 これを一日何回も繰り返したことのほうが効いています。 腰痛は根性で防ぐものではない、というのが今の考え方です。 国の指針も、その立場に変わっています。 国の指針は「原則として人力で抱え上げない」 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」には、はっきり書かれています。 全介助が必要な方には、リフト等を積極的に使う。原則として人力による人の抱上げは行わせないこと。 ここで大事なのは、これが個人の心がけではなく、 事業主に向けた指針 だという点です。 用具をそろえるのも、作業のやり方を決めるのも、本来は事業所側の役割になります。 指針が挙げている用具は、だいたい次のとおりです。 場面 使う用具 ねらい 全介助の移乗 リフト(床走行式・据置式など) 持ち上げる動作そのものをなくす 座位が保てる方の移乗 スライディングボード 持ち上げずに横へすべらせる 立位が保てる方の移乗 スタンディングマシーン 引き起こす動作を減らす ベッド上の移動・体位変換 スライディングシート 引きずらない。不自然な姿勢を防ぐ あらゆる介助の前 電動ベッドの高さ調整 前かがみにならない高さまで上げる 正直に言うと、在宅ではリフトまで入っている家は多くありません。 ただ、 スライディングシートとベッドの高さ調整は、今日からできます。 在宅でいちばん効くのは、ベッドの高さです ご家庭に伺うと、ベッドがいちばん低い位置のままのことがよくあります。 ご本人が足を下ろしやすいように、家族が下げているのです。 介助に入るときは、いったん上げる。 終わったら元に戻す。 この往復を面倒がらないだけで、腰にかかる負担がまるで違います。 目安は、 自分が立ったまま前かがみにならない高さ 。 腰をかがめて作業している時点で、高さが合っていません。 そしてもうひとつ。 ベッドは壁から離して、両側から入れるようにしておくと、ひねる動きが減ります。 模様替えの話になるので、ご家族と相談が...